これまでトップチーム会議という名称で開催していた研修会を今年度よりコーチカンファレンスと名称変更し、下記の日程で全国3会場にて開催しました。合計延べ360名近くの指導者資格ホルダーの方にご参加いただきました。開催時期については、例年は7月に開催しておりましたが、今年度はトップリーグのカップ戦が6月から開幕することを踏まえ、4月と5月の開催となりました。
関西支部
開催日時:4月6日(土)13:00-16:00
場所:立命館大学いばらきキャンパス
九州支部
開催日時:5月18日(土)13:00-16:00
場所:九州協会事務局
関東支部
開催日時:5月25日(土)13:30-16:30
場所:国立オリンピック記念青少年総合センター
本研修会は昨年度まではトップチームに所属する指導者の方のみを対象としておりましたが、関東会場においてはB級コーチからS級コーチまでを参加可能対象として開催しました。関西、九州についても来年度からはB級コーチからも参加可能となります。先行してB級コーチからS級コーチまで参加対象を広げた関東会場では、グラスルーツで活動する指導者とトップチームの指導者とが講義中のワークと通して交流し、本研修会が日本のコーチの結束力を高める一助となることを感じることができました。
講義内容は全会場とも共通で下記の3部構成で行われました。
1. 新指導者資格制度の説明(日本協会普及育成委員会コーチング部門)
担当講師
・関西会場 石指 宏通氏(関西協会コーチ委員長/日本協会普及育成委員会コーチング部門委員)
・九州会場 村上 純氏(九州協会コーチ委員長/日本協会普及育成委員会コーチング部門委員)
・関東会場 川合 レオ氏(日本協会普及育成委員会コーチング部門長)
内容
「2019年度から運用されている新指導者資格制度の説明と来年度以降のコーチカンファレンスについての概要を説明。コーチカンファレンスは、これまで各支部のトップチームに所属する指導者のみを参加対象としておりましたが、2020年度からはB級コーチからS級コーチまでの有資格者を対象とした研修会となることが説明されました。またそれに伴い、3支部協会からのチームへの連絡を廃止し、指導者個人で参加申し込みを行うことについても説明されました。」
2.2019年度のレフリングのトレンド(日本協会技術委員会審判部門)
担当講師
・関西会場 久保 修平氏(日本協会A級コーチ)
・九州会場 久保 修平氏(日本協会A級コーチ)
・関東会場 河野 文高氏(関東協会レフリー委員長)
内容
「ワールドカップイヤーである今年度は競技規則の変更がないため、2019年レフリングのトレンドというタイトルにて、下記3点について今シーズンのガイドラインに反映される事項について説明されました。」
・ボールキャリアー(アタックプレーヤー)が前腕や肘を突き出した状態でのプレー
喉、首、頭にコンタクトしたケースはレッドカードになる。相手と正当にコンタクトした後に腕が上がるのは自然な行為でプレーオンである。
・SHのボックスキックにおけるUse it callについて
SHがボールをキックしやすい後方までボールが運ばれてからUse itをかけるのではなくて、ボールが使える状態になれば早めにUse itをかける。後方までボールを運ぶ際は足でプレーする。手でプレーした際はボールアウトとみなす事を再確認した。
・ボールアウトについて
明らかにボールが出ていればプレー出来る。明らかでなければ反則となるリスクがある。その際はプレーヤーとレフリーの間でコミュニケーションを図る事が理想である。アタック側は立ってボールにセキュリティーをかける事がキーポイントである。
3.最新のコーチング概論 テーマ「勝利の文化を考える」(日本協会技術委員会HPコーチング部門)
担当講師
・全会場 中竹 竜二氏(日本協会技術委員会HPコーチング部門長)
内容
「メインテーマは、勝利の文化を考える。講義の前半は、学習者中心の形式で、日頃の自身のコーチング等について参加者同士で議論をかわしながら指導者間のネットワークの構築や交流を図りました。後半は本題へ。これまでの指導者研修会等では、戦略・戦術・スキル、リーダーシップやマネジメントなどのテーマが多く取り上げられてきましたが、今後、カルチャー(文化)を構築することの重要性に移行してきているという内容で、中竹氏が訪問したスペインのバルセロナFCの情報を踏まえた講義が行われました。」
総括
ラグビーに限らず、スポーツを取り巻く環境が近年、大きく変わっています。特にラグビー界はワールドカップという大きなイベントを控えています。ワールドカップでの盛り上がりが一過性で終わらないためには、現場での指導の質の向上が必要不可欠です。指導者は過去の経験則や、従来の考え方にとらわれず、常に最新の指導方法を学び続けることが重要となります。コーチング部門としては、今後も指導者の方々が学び続けることができる環境を提供できるよう活動してまいります。ご参加ありがとうございました。
以上
報告:日本協会普及育成委員会コーチング部門